RING LINK LABORATORY印刷の実験室

New Year Card 2021

New Year Card 2021

2021年度年賀状 仕様解説

2021年用に作製した年賀状の仕様に関して、ご質問を数件いただいたので、こちらでも解説して見たいと思います。

テーマは「happy」&「strong」!

コロナ禍の中で迎える新年ということもあり、とにかく少しでもハッピーに元気で力強い年になりますようにとの祈りも込めさせていただき、
生命力が強く、「永遠の幸せ」を花言葉に持つゴムの木をモチーフにしてみました。

ちなみにこちらは元画像。実は我が家のゴムの木だったりします。(笑) *背景は切り抜きしてます。
ちなみにこちらは元画像。実は我が家のゴムの木だったりします。(笑) *背景は切り抜きしてます。

印刷方法

赤く鮮やかに芽生えた幸せの新芽を力強く再現したいと思い、
今回の印刷方法は1色ずつの鮮明さと重量感が出せるシルク印刷で再現することにしました。

特色4色ぐらいで再現したいと思います。
新芽の部分を強調したいので、新芽の赤く見える部分のみベタ版。その他3色はアミ版にしてみようと思います。

特色は下記4色を選択してみました。

左から
・特色グリーン:PANTONE 7470 C
・特色ベージュ:PANTONE 155 C
・特色ピンク :PANTONE Red 0331 C
・特色レッド :PANTONE 3517 C

(テキスト類は通常のオフセットのスミで印刷しました。)

データ作成方法

今回はCMYKにに分版したデータを元に、4色分の特色版を作成しました。

先ずはフォトショップ上でCMYK変換後、先に明るさや彩度、コントラスト等の補正調整を済ませます。

チャンネルウインドウを開いて「チャンネルの分割」を実行します。

チャンネルウィンドウから「チャンネルの分割」を選択
チャンネルウィンドウから「チャンネルの分割」を選択
CMYKの4つの情報に分版されました。
CMYKの4つの情報に分版されました。

次にアミかけ処理です。今回は300pixel/inchの画像をハーフトーンスクリーンで線数を25線(Iine/inch)に設定しました。

変換後(拡大)

これらをもとに、各チャンネルの階調を反転させたり、足したり引いたりして特色再現用の版データを作ります。

特色4色用分版データ

特色4色用の分版データ
特色4色用の分版データ

もとの分版データからだいぶシンプルな表現になりました。
各版への特色の振り分けは

C版:特色グリーン
M版:特色レッド
Y版:特色クリーム
K版:特色ピンク

上記内容に振り分けました。
ちなみに今回はさほど色の重なりの多いデータではないのですが、
一番要素が多いC版(特色グリーン)の網の角度をモアレが目立ちづらい45度としてみました。

こちらのデータを使用して印刷をして行きたいと思いますが、ここで今回使用した用紙も紹介しておきます。

用紙選択

用紙:カフェラテ LT/31kg(大和板紙)
用紙:カフェラテ LT/31kg(大和板紙)

今回は上記「カフェラテ LT/31kg」を使用いたしました。大和板紙さんの再生板紙になります。

選択した理由としては、モチーフであるの植物の生命感を出したかったので、素材感とナチュラルなテイストがあるもの。
且つ、ポストカードなのでしっかりとした厚みがあるもが欲しかったので本銘柄にしました。

ちなみに裏面は、用紙名の通りカフェラテ色です。

オモテの白面は紙パック等の液体飲料の古紙を使っているそうです。自然の良いムラ感です。
ウラの茶色面は通常の古紙仕様とのこと。こちらも古紙特有のチリが入って良い感じです。

 

刷り順番

今回はシルク特色4色の再現です。

オフセット印刷のように4色インラインでウェットのまま重ねるわけではありません。
1色ずつ乾いてから載せていくので、色の刷り順の指定が必要になります。

本データはそこまで色の重なりが多い作りではないのですが、今回は下記刷り色順に印刷しています。

1番目:主に植物の葉っぱの形状を構成する特色グリーンを最初に。

2番目:その葉っぱのライト部分を表現する特色クリームは色が弱いのでその上に重ねます。

3番目:新芽のエッジのピンク部分を3番目に。

4番目:最後に一番強調したい新芽部分を、特色レッドのベタで一番上に。(この色だけはアミではなくベタです。)

こちら拡大画像です。

インキの重なりの部分がわかるでしょうか。

参考までにですが下記が、各色単色で刷った状態になります。

 

完成

最後に断裁して完成となります。

新芽のレッドが力強く引き立った仕上がりになったと思います。

冒頭でも書きましたが、シルク印刷の魅力はインキの皮膜が通常のオフセットインキより厚いために
得られるその色のボリューム感と鮮明さだと思います。

とはいえ、不透明なわけではないのでやはり色が濃い用紙に明るい色を印刷する場合や、
今回のように色の重なりができる場合には注意が必要です。

また、逆にそれを踏まえた上で表現方法を考えれば、オフセット印刷ともまた違った表現が可能であります。

弊社では伝えたいメッセージやコンセプトを、的確な素材選びと手法でより効果的に表現することを心掛けております。
想いをより具現化したい方、是非ご相談ください。
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