RING LINK LABORATORY印刷の実験室

シルク印刷でのダブルトーンと強マットインクを使った表現

シルク印刷でのダブルトーンと強マットインクを使った表現

シルク印刷の色の強さを生かした表現を違った角度から考察してみる。

今回は株式会社新栄プロセス社様のご協力のもと、シルク印刷でダブルトーンと強マットインクを使用して、深みと空気感を強調する表現法を試みてしました。

通常ダブルトーンの再現はオフセット印刷での使用が一般的ですが、よりインクの皮膜が厚いシルク印刷で採用した場合はどう見えるのか。
またマットインクに関しても同様に皮膜が厚い分、オフセットとは違った表現が可能ではないのか。
この2点をメインのポイントとして進めていきたいと思います。

尚、今回はより効果的な再現を出すために、シルク版は高メッシュのメッシュ数420を使用してみました。
通常のシルク印刷のメッシュ数は250程度との事ですので、かなり繊細な表現が期待されます。

 


先ずはグレイ版です。(特色はPANTONE Cool Gray 5Cを選択しました。)
ダブルトーンの視覚的効果を高めるため、データ上でスミ版に対して中間からライト部分の比重を少々多めにしております。


続いてスミ版です。


そしてマットインク版(赤)です。
こちらのマットインクは「Qセット」という、よりマットな再現ができるインクを使用していただいております。

そして下記は拡大写真です。


スミ版の拡大写真。


こちらはマットインク版(赤)の拡大画像です。
流石に高精細の450メッシュです。シルク印刷でここまでの濃淡のニュアンスが出るとは思っておりませんでした。

ちなみに下記はマットインク版(赤)用で使用した画像データです。

淡い濃淡のあるデータです。正直諧調は潰れてしまうかと思いましたが、思いの外再現できていますね。

スミ1色とダブルトーンの違い

(左)スミ単色。(右)グレー+スミのダブルトーン。
(左)スミ単色。(右)グレー+スミのダブルトーン。

さて次にスミ単色と、グレーとスミのダブルトーンでは再現にどのような違いがあるかを見ていきましょう。

先ずはスミ単色です。

続いてグレーとスミのダブルトーン

中間域の表情に深みが出ているのがわかると思います。

ダブルトーンのデータの作り方は、メインのスミ版に対して特色版をライト、中間、シャドウ領域でどのように掛け合わせていくかが基本となります。

今回はシルクでの再現と事で、通常のオフセット印刷ほどインク自体に透過性がないため、2色の掛け合わせ部分がどういった表情になるか想像がつきませんでしたが、やはり通常のオフでのダブルトーンとは一味違い、繊細さと言うより各色の主張を感じる力強い表現になったと思います。

強マットインクの表現

シグナルライトの赤色は強マットインク(Qマット)を使用
シグナルライトの赤色は強マットインク(Qマット)を使用

続きまして踏切のシグナルライト部分の再現で使用した、マットインキに関して見ていきます。

こちらのインクはマット系のなかでも、より強い効果がある「Qマット」というインクを使用していただきました。

その粉っぽさというか、程よい隠蔽具合が光の奥行き感とエアー感を感じさせてくれます。
この微妙な色のレイヤー的再現もオフセットではできない表現かと思います。

その他番外編サンプル その1「メッシュ350」

こちらはシルク版350メッシュで印刷したもの
こちらはシルク版350メッシュで印刷したもの

番外編でシルク版のメッシュを350で印刷したものもご紹介しておきます。
メッシュ350でも十分高精細なのですが、先出の420メッシュに比べるとやはり細かい階調は潰れてしまいます。


先に紹介した420メッシュ


こちらが350メッシュ

ですが、繊細さは無くなる代わりによりシルク印刷特有のダイナミックな表現が可能になります。
*下記はマットインキの赤部分。


こちらが420メッシュ

そしてこちらが350メッシュ

別の角度からも

メッシュが荒い方がインクが出ますので、よりベタっとした表現になりますね。
再現したいイメージに合わせて使い分けても良いかもしれません。

その他番外編サンプル その2「PP貼りの上からのマットインク」

グロスPP貼りの上からマットインキ(赤)2度刷りしたもの
グロスPP貼りの上からマットインキ(赤)2度刷りしたもの

折角なので最後に視覚的効果が一番高いものもテストしておきました。

ベースのモノクロ調画像の印刷はコート紙にオフセットの4色刷りです。
グロスPP貼り後に、シルク印刷でマットインキで赤を2度刷りしております。

マットPPにシルクの光沢ニスや厚盛りの表現は一般的かと思いますが、それとは逆でグロスのベースにマットのディティールという表現になります。
厚盛りほどの高さは出せませんが、データの作り方次第では印象的な見せ方が可能かと思います。

 

今回のテストを終えて

シルク印刷の最たる特徴はそのダイナミックな色の再現性だと思いますが、その特性を生かした表現方は他にもまだまだ考えられると改めて感じました。

印刷物は有形物として残っていくものだからこそ、しっかりとした表現で唯一無二の存在で意味のあるものをもっと生み出していきたいと考えます。

弊社では伝えたいメッセージやコンセプトを、的確な素材選びと手法でより効果的に表現することを心掛けております。
想いをより具現化したい方、是非ご相談ください。
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